ラボ潜入

「 ラボ潜入 」
2019年、静かに始まった挑戦の物語。
今回は、『サンポークリエイトのラボ』の内部へ潜入してみよう。
ラボが立ち上がったのは、2019年の春。
それから今日まで、数えきれないアクセサリーがここで生まれ、磨かれ、送り出されてきた。
だが、アクセサリーとジュエリーの間には越えられない“壁”が存在する。
変色。アレルギー。素材としての希少性。
それは、美しく在り続けたいと願う人にとって避けられない課題でもあった。

その答えを探し続けた先で、出会った素材、それが ”チタン” だった。
酸化せず、肌に優しく、生体適合性が高い。
“理想”であるはずなのに、誰も本格的に挑もうとしなかった金属。
だからこそ、私たちは思った。
「この未知の領域を、自分たちの手で切り拓こう」と。
その道のりは、想像以上に険しく長いものだった。

「チタンの軽さ」という驚き
チタンは、軽く、強く、アレルギーフリー。
身に着けた瞬間、金属とは思えないほどの軽やかさに誰もが驚く。
しかし、その裏側には、並外れた“加工の難しさ”がある。
『 iT’sTi (イッツティ) 』があえてチタンに挑む理由。
そして“職人泣かせ”と言われる所以を、少しだけお伝えしよう。
金属にはそれぞれ固有の「気質」がある
金は柔らかい。
銀はしなやかに。
プラチナは静かに重く。
金属には、言葉以上に個性的で、時に気まぐれな“気質”が宿っている。
チタンは、とくに強度が高く、熱にも空気にも敏感。
ほんのわずかな条件の違いが造形を大きく左右し、扱う者に 高い集中と経験、“素材と向き合う覚悟” を求めてくる。

デザインの自由を奪う「直線加工の壁」
一般的に、チタンの加工は
曲げる・切るといった直線的な切削加工が主流となる。
理由は単純で、他の金属のように簡単には曲がらないから。
そのため造形の自由度はどうしても限られ、ジュエリーとしての“表現の幅”に制約が生まれてしまう。
だが、 『iT’sTi』が求めるのは、金属の都合に合わせたデザインではなく、着ける人の感性に寄り添う造形。
そこで私たちは、誰もが避けたがる技術に踏み込むことにした。

チタンを “鋳造” で形にするという挑戦
ジュエリーづくりの基本技術「鋳造(ちゅうぞう)」。
金属を溶かし、型に流し込み、冷やし固め、磨き上げる。
金や銀ではごく当たり前の手法だが、チタンで同じことをしようとすると、 話は一気に変わる。
チタンは約1,600℃まで加熱しないと溶けず、空気中の酸素に触れれば一瞬で性質が変わる。
つまり、溶かして流すことさえ高難度なのだ。
ゴールドやシルバーなら素直に流れるが、チタンは途端に言うことを聞かない。
気泡が入り、薄い造形は歪み、厚みの境界では金属が暴れ出す。
「同じ型で、同じ温度、同じ手順なのに、まったく違う表情で上がってくる。」
それがチタンの“気まぐれ”である。
成功率は、奇跡に近い
チタン鋳造では、成功より失敗が圧倒的に多い。
むしろ“失敗することが前提”と言っていいほど。
試作は20回、30回と続き、
コーティング、温度、工具径、冷却経路、回転数、金属流速――
あらゆる条件を変えながら、最適解を探る 実験の日々 が続く。
多くの素材は、経験を積めば“予定通りに”仕上がるようになる。
しかし、チタンは最後の一瞬まで油断できない。
温度が1℃違えば表情が揺れ、磨き角度が1度変われば輝きが変わる。
だからこそ、成功した一つの造形には 挑戦の果てに宿る唯一無二の表情が現れる。

『iT’sTi』がチタンに挑む理由
チタンは、大量生産とは程遠い素材だ。
手間も、時間も、コストもかかる。
ひとつ仕上げるために、膨大な研究と試行を必要とする。
それでも、私たちが挑み続ける理由がある。
“軽さ”と“強さ”、そして“自由な造形美”。
そのすべてを妥協なく届けたいからだ。
どれほど難しくても、どれだけ失敗しても、 素材と向き合い、格闘し、諦めない。
その先に生まれる“チタンの奇跡”。 それを、あなたの肌に触れるジュエリーとして届けたい。
こうして今日も、研究の日々は続いていく。
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